もしも認知症やその予備軍であると診断された場合でも、「よく噛む」そして「自分で食べる」という行為は非常に大切です。噛む事による脳への刺激や血流の効果は、認知症の進行を遅らせる効果が期待できます。手や指の細やかな動きも脳の活性化になりますから、自分で橋やスプーンを使って食べ、よく噛んで、そして食べ終わったら歯を磨く事で、出来るだけ長く普通の生活を維持する事が可能になるのではないでしょうか。自身の天然の歯を健康なままで維持できるに越した事はありませんが、必要に応じて義歯の装着も検討する事は大切です。適合した義歯をつける事は、しっかり噛んで食べるという面でも重要ですが、認知症患者の転倒回数を減らすという面でも効果があります。歯を失い、噛み合わせが悪くなる事で全身のバランス感覚も崩れてしまうのです。単に義歯が入っていればいいというわけではなく、正しい噛み合わせの義歯をつける事が重要です。また、人というのは、噛みしめる事によって全身の筋肉が働いて身体を安定させます。転びそうになった時に噛みしめて踏ん張る事で転んでしまわないように耐える仕組みになっているのです。しっかり噛み合わせる事ができるというのは、踏ん張るという点においても重要なのです。認知症に限らず、「しっかり噛める」事で転倒などによる骨折を防ぎやすくなります。